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お料理カルト

美味しい料理とは何かを探す料理狂の備忘録

おいしいってなんだ?(後編)

前回は、おいしいのが味覚以外の領域に影響を受けやすいという事を書いた。
後編の今回は、もう少し味覚にせまってみたいと思う。

旨味と塩の話

「甘味、塩味、酸味、苦味、旨味」が基本の五味。
これに加えて「渋味」とかを6個目の味覚に入れたりする。
だいたいの料理の味はこの組み合わせで作られる。
(唐辛子などの刺激味やアルコール味などは入ってくるが)


その中で、おいしさと関係が特に深いのは字の通り「旨味」である。


しかし、旨味はちょっと厄介な性質を持っていて、
単独だと「旨い」として認識ができない。
試しに、味の素を舐めてみても変な味としか思わないはずだ。


しかし、この旨味が適切な量の塩と結びつくと旨味として機能し始める。
ラーメンが人を魅了するのは「大量の旨み」と「大量の塩」の塊だからというのは有名な話だ。


塩の適量の話

次に、塩の分量を考えてみたい。
実は食べる温度や他の味(甘味、酸味、苦味、旨味など)によって
分量が変わるのだが、一般的な暖かい出汁をベースで考える。


まず、僕らはなぜ食事を取っているかというと、生きるために必要だから摂取している。
塩に関しても、超重要な成分で人は塩なしではすぐに死んでしまう。
しかし塩が強すぎれば、それを吸収するために希釈しなければならず、
たくさんの水が必要となる。


だから、体に吸収する際、そのまま吸収しやすい塩分の水溶液を「おいしい」と
感じるように舌の機能は発展したと言われている。
つまり人体の塩分濃度はおよそ0.85%と言われており、
僕らがおいしいと感じる塩梅は、その分量が基準となる。


味覚の相互作用

最後に味覚同士がぶつかるとどうなるかという話をしたい。
旨味を感じるためには塩味が必要と最初に書いたが、
それ以外も味覚同士は色々と相互作用を持っている。
ざっくりと列挙していく。


・酸味は塩味の感覚を鈍らせる
塩っぱい時に酢をかけると食べられるようになる。

・甘味は苦味を和らげる
コーヒーに砂糖を入れると苦くなくなる。

・甘味は酸味と別々に来ると強める
ケーキを食べた後のいちごが酸っぱくなる。

・塩味は甘味を強化する
スイカに塩をかけると甘くなる。

・低い温度では、甘味・酸味が感じにくくなる。
苦味と塩味については変化がないため、相互作用が働きにくくなり、塩味や苦味が感じやすくなる。
(同じ塩分濃度だと冷たいスープとかの方がしょっぱく感じる)


他にも色々とあるので詳しくは「味の相互作用」などで検索し
調べてもらえば面白いものを読めると思う。

塩に慣れる、脂に慣れる、辛味に慣れる

前回、美味しさとは過去の体験であると書いたが、
実際の味覚も経験に依拠するところが大きい。


「ハマるほどおいしい」という感覚は、ベータエンドルフィンが脳内から
どばーっと出る時に起こる。ラーメンを毎食食べてしまう。
ご褒美にケーキを食べたい。とにかく焼肉が大好き。
このような感覚はすべて「βエンドルフィン」の仕業である。


・旨味(アミノ酸)を大量に塩ととった(どばー)
・脂肪を大量にとった(どばー)
・唐辛子の辛いのにハマってる(どばー)


といった具合に、脂肪/旨味/辛味はβエンドルフィンを大量放出してくれる。
逆にそれに慣れ親しんでしまうと、今までのものでは物足りなくなり、
より大量の「脂肪/旨味/辛味」を求めてしまう。
実に恐ろしいが、これらは量を減らして戻していくしかない。




【参考文献】
・コクと旨味の秘密(新潮社)
・味覚と呈味成分との関係 
http://www.saltscience.or.jp/symposium/4-hatae.pdf
・依存症を作りだす脳内麻薬“βエンドルフィン”とは
http://matome.naver.jp/odai/2136283408907844001